念願の300Bのシングルアンプを創ることにしました。以前は2A3アンプを作ってそれをアップグレードする計画でした。しかしそれは実現しませんでした。その後、300Bへの思いはたち消えておりましたが、838シングルアンプを作った時に、トランスドライブを諦めたこと、中国製の300Bを手に入れてしまったこと、Tango(ISO)が閉店する前に衝動的に3.5kΩのシングルトランス(FC-30-3.5S)を購入しておいたこと、などの要因が重なり、とうとう製作を決断しました。仕事も結構忙しいのでなかなか時間が取れませんが、できる限り早く完成させたいものです。せっかくなのでトランスドライブ(Tango NC-16)とすることにしました。この段間トランスは一次側に15 mAまで流せる仕様になっています。しかし、838アンプを作った時に感じたことはもっと少ない電流で飽和してしまい、よくないことがわかっていました。そこで、ドライブ段をプッシュプルにすることを思い立ちました。NC-16にはセンタータップがありますので、プッシュプルとして使用することができます。そこで、ここに示したような回路を設計しました。1つ大きな問題があります。その時入手できたのはTangoのMX205という電源トランスだけでした。B電源の電流は十分なのですが、300BのヒーターをDC化するのが難しそうに思えました。そこで、超小型のスイッチング電源(TRACO POWER 入力AC100-240V, 出力5.0V 3.6 A)
スイッチング電源の写真
を採用することにしました。ラッシュカレントによるフィラメントの劣化を防ぐためと、室温でのフィラメントは約0.6Ωです。ステレオで2本並列に使うと0.3Ωと超低インピーダンスとなってしまい、スイッチングレギュレーターの保護回路が働いてしまい電力供給ができない構造になっています。そこで初期段階は負荷を2Ωの抵抗が受け持ち、約5秒間フィラメントを予熱してから、本格的にヒーター電流を供給するようにCRによる遅延回路を入れてFETで制御することにしました。回路構成は、初段が位相反転を作るところで、中段がそれを増幅してドライブトランスへ信号を送り出します。今までは初段と中段を直結していましたが、B電流の調整機構などを作る必要があることから、今回は単純にコンデンサー結合としました。トランス出力は直接300Bのグリッドに送り込まれます。
アンプシャーシはいつものようにタカチのSL10にしました。今回もサブパネルを使い、ネジ類が天板に出てこない構造にしました。段間トランスが追加されるので少し手狭な感じですが、なんとかこのケースで収まることがわかりましたので、これで設計しました。
天板の図面はこちら
サブパネルの図面はこちら
設計した回路図はここにあります。素人が設計したものですので、この回路を試されて起こった事故につきましては自己責任でお願いいたします。
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