RIAAイコライザーアンプ作製
 マランツのモデル7のクローンを数多く手掛けてきました。そのアンプの心臓部であるRIAAイコライザーを使ってLPレコードを最初に聞いた時の印象が忘れられずにいました。 それまで聞いていたLuxmanのCL36と全く違う音でした。とてもシャープな音でした。最近ではそれが普通になってきましたので特に違和感がありませんが、最初は体に刺さるような 印象さえありました。その時に感じたことはとてつもなくすごいアンプだと感心したこととともにこの音が受け入れられない人もいるのではないかと言うことでした。その頃に ライターの藤本氏が書かれた記事が気になり始めました。
マランツのモデル#7とマッキントッシュのc-22のRIAAアンプを作り切り替えて音の違いなどを楽しもうと言う企画です。c-22はモデル#7の対極にあると言われているそうです。 その違いを是非とも聞いてみたいと言う気持ちが少しづつ芽生えてきました。令和元年の暮れ(冬休み)からこの記事のアンプを作りたいと言う思いが衝動的にこみ上げてきました。 結局作ることにしました。シャーシ、電源、などをどのようにしようかと考えましたが、幸いモデル#7用のシャーシがいくつかあります。またずっと秘蔵していたST-30という タンゴの電源用トランスもありました。早速作り始めました。電源トランスのリーケージフラックスを減らすためにトランスケースに格納することにしました。

B電源は両波整流、ヒーターは17Vをブリッジ整流としました。6.3V端子も取り出しました。ブリッジ整流してDC6Vを使う予定です。トランスケースの底板にトランスを固定する ためにLアングルで櫓を組みました。完成したトランスはケースが少し大きすぎたかもしれません。

リアパネルの加工を進めていきました。6本の真空管ソケットをつける板もマランツモデル#7と同じ様に作りました。トランスを支える穴は4個にしました。モデル#7では 3個ですが。AC電源ケーブルはソケット式にしました。ここで痛恨のミスをしました。電源ソケットとFuseホルダーはパネルの左下にするつもりだったのですが トランスが下にきてしまいました。お正月にお酒を飲みながら作っていたからです。大いに反省しています。 楽しい冬休みはここでおしまいになりました。これからメインボード、やフロントパネルの作成をしていく予定です。記事に載っていない機能もつけることにしました。 それはMCカートリッジ用の昇圧トランスです。ソフトンさんから2個購入しました。これらを組み込んでいくのが楽しみです。
その後センター試験のときに少し時に間があり、自宅に戻りました。トランスは大きすぎると思う様になっていました。ソケットやヒューズの位置にも不満がありましたので、 思い切ってリアパネル関連のところを作り替えようと決めました。トランスはST30Sではなくモデル7の時にいつもお世話になっている春日無線さんのKmB60にしました。 トランスケースは関東変圧材(047-176-7011)のYD80を使いました。このトランスケースはねじ穴があるのでエポキシ樹脂でそこを埋めて艶消しの黒で塗装しました。 徹底的に凝った作りにしようと決めました。メインボードはマランツモデル7のクローンで使っているものと同じにしました。

電源もモデル7とほぼ同じです。電解コンデンサーは筒に組み込むのではなく基盤に直につけたところが大きな違いです。リアパネルと側面の板を 塗装しました。リアパネルのレタリングも行いました。そのあとはイコライザー素子の基板を作りました。汎用の穴あき基板に組み込みました。それらを本体に組み込みました。 今回は、MC用の昇圧トランス(PLT-1)をソフトンさんから購入しました。10Ωと40Ωが使える様になっています。その切り替えにオムロンのミニパワーリレーを使うことにしました。 リレーの接点は電流を流すと長期使用で接点不良になる可能性があり少し不安でしたが、接点の材質はAuクラッドとAg合金となっていていたことと、微弱な信号しか流れない ことを考慮して採用しました。ここまで作ったところで、時間切れとなりました。次回は多分完成まで漕ぎ着けられそうです。

MCカートリッジを調達しなければなりません。MarantzとMchintoshとでどの様な音の違いがあるのでしょうか?大変興味があります。両者のイコライザーアンプは最終段が 12AX7のカソードフォロアーとなり非常によく似ています。そのままメインアンプに繋いで音をみようと思っています。電源回路などについても少し悩みました。これらについては、今後 改定する時に詳しく書かせてもらいます。
メインボードに抵抗とコンデンサーを載せました。コンデンサーは、VitaminQタイプのもので統一しました。これは以前気になっていたので、集めたものが 在庫としてあったからです。マランツ7とマッキントッシュc-22の回路の中での大きな違いはマランツではNFBを最終段のカソードフォロワから初段のカソードにかける のに対してマッキントッシュでは2段目から初段に戻すところです。もう一つの違いは2段目と最終段をマランツではコンデンサーで繋ぎますが、マッキントッシュでは 直接つなぐところです。コンデンサーの時定数を考えると直結の方が良いのかもしれませんが、電圧のバランスが崩れたどうなるのか心配したりもします。フロントパネルには マランツとマッキントッシュの切り替え用のロータリースイッチと、MM, MC-high, MC-lowの切り替え用のロータリースイッチがあります。MCはトランスで昇圧しますが、 その際に昇圧比を2つ選べる様にしました。その切り替えにはオムロンのミニパワーリレーを使うことにしました。その電源としてスイッチング電源もつけました。パイロットランプ は電球色のLEDをネオン管の筐体に差し込んで使っています。

内部の配線を済ませました。メインボードでは電源系統、NFB素子への結線、入力及び出力の信号線などです。

ドキドキしながら電源を入れました。B電源の電圧がだいぶん予定と異なりましたので、ブリーダー抵抗をカットアンドトライで決めようとしました。ここで痛恨の失敗に 気がつきました。後の祭りですが… それは抵抗器の上にコンデンサーが載っていることです。本当に愚かでした。最初から気がつくべきでした。かなり落ち込みましたが、 気を取り直して、コンデンサーは基盤の上側、抵抗は下側に配置するべく改造しました。以下の写真の通りです。

ようやく完成しました。シャーシをマランツ7のウッドケースに入れてみました。今回は電源ボードの改造に時間を取られてしまい、肝心のヒアリングまで至っていません。 次回自宅に帰ってきた時にじっくりと聴き比べをしようと思っています。イコライザーアンプの後は直接メインアンプに入れて聴こうと思っています。結果が楽しみです。



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