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 2016年9月 アナログプレーヤーを購入してしまった
京都の仮住まいは手狭なのでレコードを聴くことを諦めていました。ほぼ毎週東京の自宅に戻るので好きなレコードは東京で聴けば良いと思っていました。京都ではラックスの再生38FDとCDおよびFM−tunerで我慢していました。ある時何気なく見ていたヤフオクで、スケルトンのベルトドライブのアナログプレーヤーが出ていました。ボディーがアクリル樹脂でできているようです。なんとも惹かれるフォルムです。私は透明なものが好きなようです。一応お気に入りに入れてウオッチしていました。しばらく時間が経った後、そのことを失念していましたが、終了の10分前に偶然思い出し、入札価格を確認すると自分の予算範囲でしたので、何気なく少しだけ高い価格で応札しました。その結果、ゲットしてしまいました。嬉しいような困ったような気持ちです。その後あわてて、RCAケーブルとカートリッジ(ShureのMMタイプのもの)をやはりヤフオクで調達しました。また、プレーヤーの場所を確保するべく壁側の模様替えなどを行いました。京都の家のシステムはこのような感じです。
プレーヤーはドイツ製のPro-Ject 2-Xperienceというものです。最初はオルトフォンが代理店でしたが、現在はNASPECという会社で扱っている品物です。一応アンチスケーティング機能や、スタビライザーもついています。作りもしっかりしており、中古ですが傷も少なく程度の良いものでした。

再生装置が揃ったところで、レコードを手に入れる必要があります。住んでいる近くにレコードを置いている店があります。京都では比較的有名なお店のようです。「太陽中古レコード」というお店です。おやじさんが優しい人でお店は小さいですが昭和の音楽的な歴史がぎっしりと詰まったようなところです。家内と一緒に「初聞」のために記念する一枚を探したところ、パールマンの良いものが見つかりました。40年近く前に結婚する前にパールマンの演奏会に家内と行ったことを思い出し、良い記念となりました。早々再生させました。期待通りの素晴らしい演奏を聴かせてくれました。これから京都でもしばらくはレコードあさりが始まりそうです。


 2014年11月某日 達人の生活への憧れ
大変素晴らしい体験をしました。仕事のつながりで20年来の知り合いであった人の思わぬ一面を知ることができて、本当に幸せな気分になりました。その顛末について紹介したいと思います。その方は清水明さんという方です。

日本有数の環境機器メーカーの技術系役員をやっておられました。その会社から色々と環境測定器を購入し、その度に清水さんにはお世話になっておりました。10月のある日、その会社の営業の方が自分の職場に訪れられたので、清水さんによろしくとお伝えしたところ、3月で退職されたとのことでした。清水さんには色々と教えていただいてきたので、大変残念に思いました。その後について尋ねると、京都の山奥(長岡天神から車で10分ほどの竹林)で木工細工の工房をやっておられるということでした。20年以上も前からその敷地を借りておられ、お仕事の現役時代から自分のお城を築いてこられたようです。立派な玄関や、工房の建屋もご自身で作られたそうです。

自分もプリアンプのケースを木工で作ってみたいと思っていたこともあり、訪ねることにしました。快く歓迎していただき楽しい時間を過ごすことができました。清水さんは私より一回り年配の方です。色々とお話をうかがうと同じような過去の経験を有しておられ意気投合してしまいました。中学生の頃からオーディオ(真空管アンプなど)に興味を持たれ自作されていたことや、4輪駆動車に乗って林道などを走っておられたことなどです。どうして知り合って20年も経ってやっと共通の趣味の話に行きつくのでしょうか?思いもよらぬことです。 清水さんは色々なものを木工でおつくりになっているのですが、中でも力を注いでおられるのがオルゴールです。これは本当に素晴らしいものです。オルゴールのユニットは日本製です。ここに作品の幾つかを紹介させていただきます。手作業ですので、納期はうんとかかると思われますが、作品の製作依頼は受け付けてくださるそうです。

オルゴールの音色により、癒しの効果が本当にあるそうです。一部のリュウマチを患っておられる方にも効果があったそうです。また、童話作家とコラボレーションして大変夢のある玩具のオルゴールなども創作されております。清水さんの運営されている木創舎HPです。一度訪れてください。

 2014年6月5日 音楽を愛する人々
 今日は大変すばらしい経験をした。学生時代の友人と姫路までとある学会に参加するために出向いた。その日の夕刻その友達が以前からレッスンを受けているクラッシックギターの師匠のところに行かれるということで私も一緒にお邪魔した。その先生とは、あのセゴビアさんの愛弟子でおられる大変すごい技術をもたれた世界的に有名な松田晃演先生です。先生のホームページはつぎの通りです。松田先生のHPです。一度お尋ねください。姫路郊外の少し高台にお住まいです。スペイン風の瀟洒な佇まいのお宅でした。玄関を入ってすぐのところにレッスン室と思われるとても広いお部屋へ案内して頂きました。吹き抜けの高い天井と歴史が詰まった空間が異次元の入り口のようであったことを記憶しております。初対面の私に対しても先生はとても優しく接して下さいました。
 しばらく世間話をしているうちにいつしか松田先生の世界へと誘われていきました。あっという間だったので今思い起こしても何も記憶していないくらい不思議な時間が経過しました。そのうち先生ご夫妻のSPレコード再生装置を見せて頂きました。大きさは昔のステレオセットくらいでしょうか。観音開きの扉の正面左側はラジオなどが入っていたそうです。必要がないので、そこを関連するモノをしまう収納棚へと改造されたそうです。向かって右側が大変な装置です。SP再生のための空間ですが、ほとんどがすばらしい木工細工で調度品のような雰囲気がありました。上部にターンテーブルとカートリッジが鎮座しています。レコードの溝に刻まれた音源信号を針が拾い、薄い雲母版により空気振動へと変えられ導波管のような管により装置の下段へと導かれていきます。開口部はちょうどバックロードホンのようだと思った記憶があります。そこから、思いがけない音が飛び出してきます。全く、電気的なアンプを介していない本当に力学的な音がそのまま再生されているのです。この音は確か昔どこかで聞いた音だと即座に納得しました。松田先生の奥様が自ら昔のプレーヤーを修理再生されたとのことです。また、奥様は針をヤスリで磨かれます。先生が、それをつけて再生と、ターンテーブルに回転の力を蓄えるハンドルを何回もまわしておられる姿が印象的です。針はその尖らせ方と、長さ及び堅さで音楽の種類をかえておられるとのことでした。また、ミンクオイルを数的たらした水で丁寧にSPレコードの表面を洗浄して再生して頂きました。
 色々なレコードを再生してくださりました。中でもヨアヒム自身によるバッハの無伴奏バイオリンソナタ1番が圧巻でした。奥様がおっしゃるには「気が狂いそうな絶対的な演奏」ということでした。奥様が「このレコードは最後にお聞きになった方がよろしいのではないでしょうか?」と言われたのをとっさに理解しました。その後はしばらくの間、その音が体に取り憑いたような気がしました。後日、東京の自宅にてステレオでバッハの無伴奏を聞いてみましたが、なんだか作られた音のような気がしてきて、なかなか音楽に入り込んでいけなくなってしまいました。目をつぶると今でも、先生のお宅で聞かせていただいたSPレコードの音が頭の中で鳴っている気がします。すぐにでもSPレコードの世界に踏み込みたいところですが、自分の本能がそれを阻止している気がします。ひとたびその中に入り込むとすべてをそれにつぎ込みそうで大変恐ろしい気がします。SPレコードは魔物のような魅力を潜ませているようです。先生がおっしゃった「もう少し早くSPレコードが発明されていたらパガニーニの演奏も聴けたのになあ」という言葉を耳にして、技術者の使命とはなんたるかという思いが浮かんできました。

 2014年6月3日  蒸し暑い夕刻
 家内と二条の自宅で夕食をとる。ふとした話から「蛍」の話題になった。私は今までに人生で2回蛍をみたことがある。最初は名前は失念したが家族につれられていった「八芳園」みたいなところであった。何の感動も無くただ光った虫がたくさんいたことを記憶している。小学校の低学年であった。その次に見たのが成人してからである。ボーイスカウトの隊長をしていたときに、信州のとある水田で夕刻に蛍が光りながら飛翔しているのを見た。そのときはさすがにすばらしいと思った記憶がある。今日の夕食後8時過ぎに、蛍の話で盛り上がって、蛍を見に行くことにした。銀閣道近くの北白川の疎水にいるという情報があったので、203のバスに乗って行ってみた。9時頃であった。すぐにたくさんの蛍が飛翔しているのを見ることができた。何と感動的な光景だろうか?けなげに求愛をする雄がエネルギーを費やしている様は人生の縮図を見ているようであうる。思ったよりも緑がかった色である。つまらない言い方をすれば緑色のLEDの色に似ている。明滅の周期が以外に短いのには驚いた。家内は生まれて初めて野生の蛍が光っているのを見たそうだ。我々の東京の自宅の世田谷にも民家園というところで飼育した蛍を見ることができるが、自然の中でしかも人里で見ることができることはとっても価値が高いと思う。私は少しビールが入っておりほろ酔い加減であった。プラプラと歩いてきた紳士が声をかけてきた。この辺りで蛍が見られるそうですが・・・すかさず私が「ほらそこにいますよ」といって指差す。当の紳士も大変感動されてしばらく無言で見入っていた。その吾人も大分出来上がっていたようで、二人して与太話をして分かれた。何とも楽しい時間を過ごすことができた。たわいもない営みから充実感を味わったひとときであった。とても得をした気分である。寝苦しい蒸し暑い夜にお恵みをもたらしてもらった気分だ。また明日からがんばろう。

 2014年2月2日  雨のち晴れ
 今日は節分祭の日だ。家内と連れ立って10時半頃自宅を出る。三条河原町の新進堂でランチをする。家内はチャウダスープとブレッドサービス、私はスープカレーハンバーグ入りとブレッドサービス。パンが食べ放題なのでついつい食べ過ぎてしまう。スープカレーは絶品です。JR京都駅のヨドバシにテスターの特殊な電池を買いにいきました。その帰り道に、学生から教えてもらったオーディオショップ(高倉通と七条通りの交差点近くにある)絵馬木屋に立ち寄る。喫茶店のようなたたずまいのお店である。入った瞬間すばらしいJBLのコレクションに目を奪われてしまう。隅の方から店主が声をかけてくれた。「お天気が悪おマッスなあ」。マランツのアンプがあり家内に「これ昔使っていたのに似てるね?」というやり取りにすかさず割り込んできた。待ち構えているような感じ。「結構オーディオわかるんですね」といった会話からはじまる。「えー大好きなんですよ」とこちらもノーガードで言葉を返してしまったことが地雷を踏むことになったようだ。「どんなスピーカーを使われているのですか?」という質問に躊躇なく「タンノイです」と返してしまった思慮の無さを後から嘆くのであった。JBLのお店なんだからもう少しましな返答もあったのではないだろうか?まだまだ修行が足りないようだ。私の言葉に店主はここぞとばかりくいついてきた。「お客さんはクラッシックを聞かれるのですね。JBLでも繊細な音がでるんですよ。ちょっと聞いてみてください。」と勧められるままに店主が見せてくれたスピーカーに注目した。何と大口径のダブルバスが入った箱にアルテックのホーンが乗っていた。しかしホーンのドライバーは当然JBLでした。そこからとんでもない音が飛び出してきた。ネットワークも全部込みで46万円である。場所が許されるのなら欲しいところである。ここはぐっと我慢した。店主は更に小型のJBLもぐいぐいと押してきた。DENONのちっちゃなシステムコンポですごい音を鳴らすのでただただ脱帽するばかりである。私がアンプ作りをやると告白すると「そんなもんやめなはれ。作ったもので良い音が出るはず無い、それよりスピーカーに入れ込んだほうが良い」といわれてしまった。生まれて初めていわれた言葉であるが、もしかしたら真理かもしれない。その後しばらくの間JBLの生々しい音が念仏のように頭の中からはなれないでいた。バスにのり百万遍まで行きホームセンターで買い物をして川端通をぷらぷら帰ってきた。途中でゲーテインステティユートでお茶をして帰ってきた。JBLのスピーカーが欲しい。

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