Marantz Model7 No.30 の作製
夏季休暇で中国から京都に一時帰国しています。外はとても暑いので家の中で過ごしています。作りかけてほったらかしにしていた30番目のモデル7クローンを 完成させようと思い立ち、着手しました。


フロントのサブパネルに示したサインによると2024年12月に製作に着手したことになります。少しずつ進めていたので、かなりの部分は既に出来上がっています。 面倒なトーン回路の部分やメインのセレクターは既に完成していましたので、今回の日程で完成できそうだと感じていました。 RCA端子からロータリースイッチへの信号線の配線が上手にできないので悩んでいました。従来はRCA側から先に半田付けして、ロータリースイッチのところで 長さ調整をしてハンダ付けをする手順でやっていました。そうすると、ロータリースイッチのハンダが満足いくレベルになりません。小さい空間で制約を 受けながらハンダ付けをすることになるからです。そこで今回は逆にしました。最初にロータリースイッチ側に全ての線の半田付けをしてからその反対側を つけることにしました。そうすることにより大変綺麗に仕上がりました。よく考えてみるとその手順の方がはるかに合理的な気がしてきます。



真空管はTENの12AX7でそろえました。以前にヤフオクなどで買い揃えてあったもので6本揃うからです。真空管を装着してから電源を入れました。 初めて電源投入するときはいつでも緊張します。パイロットランプが点灯して、B電源電圧や、ヒーター電圧をチェックしていきます。Model7では 3種類のB電圧が使われています。1番高電圧なのはLine ampとEqualizer ampの出力段であるフォロアカソード用で280Vとなっています。実測すると 275Vでした。少し低めですが許容範囲としました。2番目はLine ampの初段と次段のプレート用です。回路図では265Vとなっています。実測は 250 Vでした。これも少し低めですが、このままで良いと判断しました。3番目はEqualizer ampの初段と次段のプレート用です。ここは245Vと 設定されています。実測結果は215Vとかなり低いことが判明しました。これはEqualizer ampのプレート電流が流れ過ぎているからと判断されます。 プレート抵抗R065とR069の電圧を測定しました。初段はModel7Kの回路図には示されていませんが、初段および次段のプレー抵抗の後の電圧は 153 Vとなっているようです。初段はLchが128 VでありRchが127 Vなのでまずまずです。しかし次段はLchが33.8 VでありRchが45.7 Vと なり明らかに異常です。そこでカソード電圧を調べてみると、Lchが4.99 VでありRchが4.59 Vとなっていました。この値も明らかに異常です。 カソード抵抗が6.2 kΩなので電流は0.6mA以上流れていることになります。グリッドにつながっているカップリングコンデンサー(0.01 μF)が リークしていることがわかりました。自分の認識ではフイルムコンデンサーはかなり堅牢でありビンテージ品でも問題ないと信じてきたので ショックでした。今回はSprague Black BeautyのYellow label NOS品をEBayで購入したものを使いましたが、運が悪いことに Equalizer側に繋いだ2個にリークがありました。手持ちにあったRed Labelのものに変更しました。

コンデンサーを取り替えて電圧を計測しました。その結果は全てが適正なものとなりました。ここで、Equalizer ampの次段のカソード抵抗が 6.2 kΩとなっていることが気になりました。line ampでは4.7 kΩが設定されています。古いオリジナルの回路とキットの回路を比較してみました。

回路図の左側がオリジナルで右側がキットになります。赤で囲った部分ですが、オリジナルでは4.7 kΩが設定されています。キットを設計するときに どのような経緯で6.2 kΩとなっとなったのでしょうか?オリジナルに比べて電流を少し絞ることを考えたのでしょうか?カソード電圧とグリッド電圧 についてはオリジナル回路と同じ電圧になっています(青で囲った部分です)。とても不思議です。カソード抵抗を変更すると当然電流値が変わることからこれらの電圧は異なるはずなのですが・・・・そのうちオリジナルと同じように4.7 kΩに変更するのが良いかもしれません。 入力回路に0.1Vのサイン波をいれて出力を測定してゲインが左右のチャンネルで同じになるようにリアーパネルの可変抵抗を調節し完成しました。

リビングのシステムで視聴をしました。とても澄んだ良い音を聴かせてくれました。しばらくこのアンプをメインとして使いたいと思います。

まだまだ、作りかけのアンプがあります。EL34のPPアンプなど仕上げなければなりませんが、なかなかモチベーションが上がりません。ゆっくりやっていきます。


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