Marantz Model7 KCIII の作製
Model #7IIを買い取ってくださったNさんから友人もModel7のクローンが欲しいとのオファーをいただきました。納期についてはいつまでも待ってくださるとのことでした。部品の調達をどうしたものかと思案していた中、ヤフオクでModel7のオリジナルトランス(中古品)が出ていました。早々に落札しました。少し使用感があるものの幸い断線も無く良いものでした。フロントパネルはヤフオクであまり程度の良くないコピーを見つけたのですが、メインスイッチの近くに大きな傷があるので、これを使うのは気が進みません。そこで、フロントパネルも自作できるか検討をしました。金物加工は問題がありませんが問題はフロントパネルのレタリングです。ピクアという商品があり、レーザープリンターで出力できるインスタントレタリング転写シートを使えばできそうです。レバースイッチ、ロータリースイッチ、black beauty コンデンサーはとりあえず入手できそうです。シャーシの自作はModel7KCIIで経験済みです。一応部品のめどが立ちましたので作製することにしました。



経験済みの作業を繰り返すのは楽であり、最初より高いパフォーマンスが得られるのと引き換えに感動が薄れます。私はもの作りが大好きですが、やはり苦労して初めて作るものが最高です。フロントパネルですが、アルミ板を裁断して穴あけを行ってから400番のサンドペーパーでヘアライン加工を施しました。その状態でレタリングを行ったところ表面がでこぼこしているせいでうまく行きませんでした。そこで、ピカールで少し表面を研磨してレタリングを行いました。文字はうまく転写できたのですが、少し磨きすぎた気がします。リアパネルも以前と全く同じように作りました。機構部品が完成したのでいよいよ内部配線です。



いよいよ完成しましたが、大問題が発生しました。それはトランスでした。このトランスはアメリカ仕様のものでした。残念なことに出力電圧が約2割低かったのです。最初にチェックしておけば良かったのですが全て組み込んでからでは遅すぎます。ヒーターについては電圧降下の抵抗を少し小さくすることでなんとか電圧確保ができました。しかしB電圧はブリーダー抵抗をあまり下げすぎると脈流によるハムの影響が気になります。結局抵抗を小さくして、なおかつブロックケミコンで1つ使わなかったコンデンサーを使い、更に100μFを外付けにしました。



おそるおそるリスニングを行いました。結果は良好です。恐れていたハムも全くありませんでした。今回はイコライザーにTESLAの金足の低ノイズ真空管(ecc803S)を使いました。その他はBaldwinというアメリカ製(RCAのOEMと聞いたことがあります)の12AX7AのNOSが手に入ったので使いました。エージングを行い、最終的にNさんの友人に引き取って頂きました。

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