電源回路について少し述べてみたいと思います。今回はトランスとして春日無線のKmB60にしました。
6.3V/1.5Aのタップを直列に繋ぎさらに倍電圧整流しました。左図のような構成です。
ファーストリカバリダイオードのHER203を並列して使いました。これは200V・2Aまで流せる高効率・高速のダイオードです。
並列にしなくても問題無いと思われますが念の為並列にしました。図中のA点では30.4 VでリップルであるAC成分は710mVでした。
比率にすると2.3%です。B、C、D点でのリップルはそれぞれ480mV、165mVおよび1.8mVでした。D点でのAC成分の
比率は0.009%です。大変優秀な直流が得られたことになります。また電圧降下からヒーター回路(パイロットランプを含む)の
電流は0.57Aとなります。12AX7の定格は0.15Aなのでトータル0.6Aが予想されることから、5%程度少ないですが真空管のバラツキなどを
考えるとまずまず合格ということなのでしょうか。B電源はモデル7Kとほぼ同じです。オリジナルの7Kでは整流用ダイオードはRA-1E(400V・1A)が選ばれていました。
これは普通のシリコンダイオードです。現代ではほとんど入手できないので、ショットキーバリアダイオードの
UF4007というものを採用しました。これは定格が1000V・1Aなので十分です。ファーストリカバリーダイオードということで
電気的には優れた性能を持った素子です。全体的に少し電圧が低めになりました。A点でのリップルは8Vでした。
B、C、D、E点のリップルはそれぞれ760, 81, 2.5, 0.4 mVでした。F点では0.1 mV以下でとなりました。
D点でのリップルは0.001%以下ということから良好な直流が得られたことになります。オリジナルの7Kでは
総電流値11.4 mAで、赤色(カソードフォロワー用)が8.2 mAで黄色(リニアーアンプの初段と次段)が1.9 mAおよび
白色(イコライザーアンプの初段と次段)が1.3 mAと設定されています。
本機では赤色が9.6 mA、黄色が2.6 mAで白色が1.2 mAと測定されました。カソードフォロワーの電流が
大きいです。1プレートあたりにすると2.05mAのところが2.4 mA流れていることになります。
これから少し時間をかけて原因を調べたいと思います。
今回はシルバーのフロントパネルにしました。また、真空管は全て東芝の通測用あるいはHiFi用で
統一しました。これから少しエージングしてパフォーマンスについて測定していきたいと思います。
音楽を楽しみながら本機についてしばらく運転してみようと思います。そのうち時間ができた時に
初期の目的であった信号応答の周波数特性などを調べたいと思います。結果については後日
ここにアップデートするつもりです。