Marantz Model7 No.25 の作製
モデル7の25番目について紹介したいと思います。よくも25個も作ることになったものだと、 呆れています。なぜ作ることになったかは、大して大きな理由はありません。電気細工については、 時間があまり取れないのと、目の衰えで細かいものを見るのが辛くなったこと、根気が続かなくなった ことなどがあり、少し遠のいていました。収集した部品が大量にあり、少し整理することに しました。その作業を始めたのですが、気がついてみるとモデル7の部品を一塊にして集めて いました。調子に乗ってやってみるとほとんどの部品が揃っていることに気がつきました。

これが25番目を作るきっかけとなってしまいました。今までの作品はそれなりに満足している のですが、金物工作や塗装、レタリング、RCのハンダ付け、配線の取り回しなどで 後悔していることもかなりありました。その原因はやはり目的があるのでなるべく早く 完成させたいという気持ちが働いたからかもしれないと感じております。そこで、さしたる 目的も持たず自然体で作ってみようと思います。従って完成まではかなり時間がかかるかも しれません。丁寧に作っていこうと思います。その気持ちから少しずつ作業工程を詳しく 紹介してみたいと思います。
 早速、金物加工を始めました。フロントのサブパネルはフロントパネルを重ねて現物を使った位置合わせで、 開ける穴などを決定しました。この方法が一番良いと思います。絶対に狂うことがないですから。ただし、 ドリルでセンターに穴を開けるときに少しだけセンターからずれてしまうことがあります。面倒でも センターポンチなどを使い正確にすると良いと思います。穴あけなどが終了したので、塗装にかかりました。 ここで使用したのは、アルミ板と塗料がよく付くように密着剤を最初にひと吹きしました。その後、アルミスプレーを 何回かに分けて塗りました。十分に乾燥させたのち側板はアクリル系の透明塗料で保護するように さらに塗装しました。これにより十分な強度が得られると思います。リアパネルは、塗料が乾燥したのち 慎重にレタリングをしました。まずまずの出来栄えです。それから、レタリングを保護するために、側板と 同様に透明塗料を吹きました。すぐにでもパーツをつけたいところですが、ここで最低でも1週間ぐらい さらに乾燥させましょう。以前はドライヤーなどで乾かして、溶剤の匂いがしなくなったので すぐにRCAジャックや、ACアウトレットなどをつけたことがあるのですが、塗装面がとても脆弱でネジを閉めただけで 塗料が取れてしまうことがありました。1週間ぐらい時間が経過するとしっかりと塗料が固化するようです。 冬場は10日くらい置いた方が良いかもしれません。イコライザーの切り替え用のレバースイッチ周り のコンデンサーや配線を先に済ませて、サブパネルに取り付けました。後からでは両脇のレバースイッチが 邪魔になり、苦労することになります。また、電源用のブロックコンデンサーのボードも作りました。 時間をかけてゆっくりやるつもりなのですが、週末になるとかなり多くの時間を割いて、作成してしまって います。最後の写真はフロントサブパネルにスイッチ類を装着した写真です。配線をしたくてうずうずしますが、 作業は週末だけ、ほどほどにと決めているので、これを眺めながら色々と妄想しようと思います。

RCAジャックを入手しました。アムトランスさんのものにしました。少々高額ですが、信号の入力部分となることから 重要だと考えて奮発しました。12ミリのスパナ2本(表と裏)で締め付けながら装着します。ボリュームのある場所と 反対の側から上下1セットずつつけていくのが良いと思います。焦らずゆっくりと慎重に作業しました。ここでよく スパナーで塗装面を引っ掻いしてしまい塗装とレタリングを台無しにしてしまうことが何度かありました。 幸い今回はうまく行きました。また、トーン回路のセレクタースイッチもCRをつけました。さらにゲイン調整の VR500ΩとACアウトレットおよびFuseホルダをつけました。ここまでは 順調です。

真空管ソケットとメインボードに着手しました。ソケットのマウントを黒スプレーで塗装しました。アンプシャーシの リアパネルとは3本のM4ネジで固定しますが、電気的には非接触させる必要があります。ここではテフロン素材の 電気絶縁ボルト用スリーブを使っています。その先にゴムブッシュをクッション材として挟み袋ナットで 固定します。まずはソケット周りの配線です。ヒーター電源用は茶色、グランドは黒、カソードフォロワー用の B電源は赤色が指定されていますのでその通り結線しました。その次に22pFと100pFのMICAコンデンサーを ハンダつけしました。リード線はなるべく短くして他の線とは接触させないように気を使います。他の線とは なるべく距離を取る工夫が大切だと思います。信号取り出し用のフィルムコンデンサー(0.01 μF) 4本と最終段のコンデンサー(これはオリジナルはセラミックになっていますのでここでもCentral lab.の セラコンにしました)。これらの配線が終わったら、メインボートとソケットマウントを合体させます。 直径約1.2ミリの鈴メッキ線をアース母線として1直線に半田付けします。 メインボードではB電源は色分けされています。イコライザー用は240Vであり白色を使います。次にトーン回路のある アンプのものは265Vで黄色が指定されていますのでそれに従ってメインボードに取り付けますが、リード線がボードから 浮いてしまわないように、瞬間ボンドを爪楊枝の先に垂らして少量リード線に付着させます。そうするとリード線がピタッと ボードに収まります。抵抗をいくつかはんだ付けしました。

トランスはいつもの春日無線のKmB60にしました。6.3V端子を直列に繋いでさらに倍電圧整流しDC18.9Vをつくります。 黒色で塗装したシールドケースに格納します。m4のネジ3本を背中から出してリアパネルの固定用に使います。今までの経験から ケースを組み立てる前のフロントサブパネルの状態でハイカットおよびローカットフィルターのRCを取り付けます。 カットフィルターの出入力はリアパネルへと信号が送られまた、帰還してくることから左右のチャンネルのクロストークを 遮断するために、ビニールパイプの中心にシールド線を配置します。また、トーン回路(NFBのRC)の配線も行いました。 油断すると間違いそうなので上図のように色などを整理して、それを参考に作り進めました。

メインボードにRCをハンダ付けしました。抵抗は基本的にはカーボンですが手に入らないものは金属皮膜にしました。 表面はコンデンサーです。今回はスプラグのブラックビューティーのフィルムコンデンサーです。 電解コンデンサー(100と250μF)はやはりスプラグのタンタルコンデンサーにしました。リアパネルはRCAジャックに信号線を 指定された色に従って配線しました。左右のチャンネルごとに束ねました。パネルに取り付けるのは本当に楽です。 うまくいきました。その後、ヒーター用の倍電圧製流のダイオードとケミコンを付けたラグ版をパネルに取り付けました。 ダイオードはファーストリカバリーのものを使っています。最後に電源トランスをつけて、電源ケーブルも配線しました。
 正月休みを使って完成しました。今回はそれぞれパーツ部分を作って、4枚のパネルを合体して組み立てる手法を取り入れました。 この方法ではハンダ付けがとても楽なのでおすすめです。完成して、出力のチェックを済ませてシリアル番号のシールをリアパネルに 貼りました。今回は全て東芝のHiFiかHiSの真空管にしました。シールドはEBYのものにしました。出力の波形を確認して 左右チャンネルのゲインをリアパネルのVolumeで調整しました。

次の写真は内部の上下からのものです。今回は各パーツを合体させるだけなのであまり時間はかかりませんでした。 それぞれのパーツを電線で繋ぎますと、アンプの形が出来上がっていくのは不思議な感覚です。今回はしっかりと作り上げることができました。

内部をアップで撮ったのが以下の写真です。一番気を使ったのがセレクター周りの配線です。今回はRCAジャックの側にケーブルがすでに繋がっているので 適正な長さに信号線を揃えるのが難しかったです。前回の作品と同じように抵抗はリケノームのRMAとアムトランスのAMRGです。コンデンサーはMICAの 精度の高いもので、セレクトをかけて左右のチャンネルで揃ったものとなるよう拘ってみました。 ポット類はTOCOSのRV30シリーズにしました。バランスは珍しいACカーブのものです。MNカーブのものと配線のパターンが異なりますので間違えないよう 慎重に繋ぎました。一番最後がメインボードに電源ボードから6本の線を繋いで、完成となります。はやる心を押さえながら、3回ぐらい配線のチェックを して、恐る恐る電源スイッチを入れました。B電源、ヒーター電源共に適正なもので安心しました。ここまでは2022年の大晦日に終了しました。 その後、元旦に信号を入れて波形を観測しました。ここでアンプが正常動作していないことを発見してしまいました。イコライザーアンプは全て正常 なのに、トーンアンプの方がダメです。初段の出力が出ていないことがわかりました。次段に繋がっているパスコンを外してプレート抵抗の波形を 観察すると正常です。次段以降に不具合があることがわかりました。パスコンの不具合や真空管の不具合などの可能性を一つずつつぶしていくのは 時間がかかる作業となってしまいました。どちらかのチャンネルだけに信号を入れているのに、出力は両チャンネル同じ波形で、さらに発振している ことがわかりました。このことから、左右チャンネルはそれぞれ独立しているはずななのにどこかで、混ざるような誤配線をしているという結論に いたり、細かくチェックすることにしました。NFBのリターンの配線を間違えて左右チャンネルが混ざっていました。これを見つけた時は大変うれし かったです。元旦から、2日にかけてずっと取り組みました。配線を直して電源投入しました。残念ながら改善されていません。がっかりです。 その後、同じような誤配線がないか調べていくとフィルター回路の所で、同じような誤配線を見つけました。低域フィルターの出力側の茶色と紫色 の配線を間違えていました。こんな初歩的なミスは絶対にしないよう時間をかけてそれぞれのパーツを作ってきたつもりですが、残念でした。 参考になるかどうかわかりませんが、カットフィルターの回路と配線の色の情報を載せます。フィルター回路はオリジナルとは異なっております。 オリジナルではハイカットフィルターにコイルを使うのですが、適当なコイルが入手困難なためにRC回路で代替しております。 その後、適正に繋ぎ直して再度波形を観測しました。全て正常に動作することが明らかとなりました。これから音楽信号を入れて 試聴するつもりです。大変楽しみです。心の中で、もう一台つくろうという声が聞こえてきます。実は少し懐が暖かい時にArizonaキャパシター をセット購入したものがあります。それらを使って同じようにじっくりと、作るこみたいの思い始めています。困ったものです。 br>



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